お口の病気

歯肉炎は大人だけの病気ではない

症状の現れ方と時期特定の歯肉炎

「なんとなく歯ぐきがむずがゆい」「リンゴを噛んだり、歯みがきすると血が出る」などの症状が現れます。
鏡で歯ぐきを見ると、赤くなっている部分や腫れぼったくなっている個所がいくつかあることに気づくでしょう。この部分を指で押すと、ぶよぶよしており、指に血がつくこともあります。しかし、一般にこれらの症状は軽度で、痛みを伴わないことが多いので、治療を受けずに放置しておく人が多いです。
歯肉炎の段階で歯科医を訪れ、早期に適切な口腔衛生指導を受け、生活習慣の改善に努めることが大切です。より重症な歯周炎になることを予防できるだけでなく、正常な状態に治ることも期待できます。そして、大変興味深いのは、ある時期特定に見られる歯肉炎です。

思春期特有にみられる歯肉炎

思春期(11~14歳ころ)になると歯肉の炎症が悪化し、歯肉はより赤くなり、ぶよぶよし、出血しやすくなることがあります。とくにこの傾向は女子に多くみられます。
女子の場合、思春期になると血流中に女性ホルモンのうちエストロゲン(卵胞ホルモン)の一種である エストラジオールやプロゲステロン(黄体ホルモン)などが増え、歯と歯肉の間にある溝(歯肉溝)から出る滲出液中にもこれらの女性ホルモンが分泌されるようになります。ここにすんでいる歯周細菌が、性ホルモンを栄養源として発育し、これらの細菌が増えることで炎症が悪化するのがわかっております。
思春期のすべての子どもたちの歯肉に炎症が起こるわけではありませんが、思春期になる前から歯肉炎があった子どもたちは歯肉炎がさらに悪化してしまいますので要注意です。
歯肉に炎症がなければ、思春期になっても歯肉は健康状態を維持することができるので、心配はいりません。思春期が過ぎれば炎症は改善していきます。