お口の病気

ドライマウスについて

ドライマウスとは

舌や口の中が痛い、話しにくい、飲み込みにくい、口の中がネバネバする。
そう感じている方はもしかすると、ドライマウスかもしれません。
ドライマウスとは、さまざまな原因により唾液の分泌が減少することで口の中が渇く症状を言います。
誰しも緊張したときなどに口の渇きを感じることはあると思いますが、それは一時的なもので水を飲んだり、
うがいをしたりすることで自然とお口の中が潤ってくると思います。
しかし、口の渇きが3か月以上続き、常にお口の中が乾燥しているのがドライマウスです。
男性よりも女性、特に50~70歳代の中高年の女性に多く見られるといわれていましたが、
最近では、ストレスや不規則な生活習慣により30~40歳代の女性に自覚症状を訴える人が増加傾向にあります。

症状・原因

ドライマウスの自覚症状には以下のようなものがあげられます。
・口やのどの渇きがずっと続く
・口の中がネバネバする
・口臭が気になる
・むし歯が増えた
・食べ物が飲み込みにくい
・話しにくい
・味がわからなくなってきた
・のどが渇いて夜中に目が覚める

ドライマウスの原因は以下のようなものが考えられます。
やわらかい食品の多い食生活
よく噛み、あごや舌の筋肉を動かすと唾液が出やすくなります。
しかし、やわらかい食品が多く、食べ応えのある食品をあまり食べなくなってしまった近年の食生活では、
舌やあごの筋力が低下してしまいがちなため、唾液の分泌量の低下につながり、口の中が渇きやすくなります

精神的な緊張やストレスの多い日常生活
リラックスしているときは唾液が出やすく、逆に精神的に緊張したときやストレスがあるときは唾液が出にくくなります。
緊張やストレスが解消されたり緩和されれば、唾液量も正常に戻りますが、緊張やストレスの多い状態が続くと慢性的なお口の渇きにつながります

加齢による筋力の低下
加齢によって口の周りの筋力が衰えてくると唾液が出にくくなり、ドライマウスを引き起こす原因にもなります。
全身の筋力の衰えにより、姿勢が悪くなることで、鼻呼吸ではなく口呼吸となり、常に口が開いている状態となるためドライマウスになりやすくなります。




薬の副作用
さまざまな薬の副作用でドライマウスになることもあります。
薬の添付文書に「口渇」とあるものがこれにあたります。血圧を下げる薬、睡眠導入剤、抗うつ剤、抗ヒスタミン剤、尿失禁のお薬など、さまざまな薬の副作用に「口渇」があります。
高齢者にドライマウスが多くみられるのは、服用している薬が多く、その副作用によるものと考えられます。

ドライマウスの原因となる主な疾患
ドライマウスを引き起こす原因となる主な疾患には、糖尿病、腎臓疾患、膠原病(特にシェーグレン症候群)、放射線治療後、中枢や末梢神経障害、更年期障害、精神的ストレス、筋力の低下、口呼吸、加齢などがあげられます。

予防法と対処法

食べ物をよく噛む
唾液は、噛めば噛むほど分泌されます。さきイカやみりん干し、アーモンドなどのナッツ類、かりんとうやせんべいなど噛みごたえのある食べ物を積極的にとりましょう。

ストレスを解消する
ストレスがあるときは唾液が出にくくなるので、ストレスのある状態が続くと慢性的な口の渇きに繋がります。
日ごろからストレスを溜めない生活を心がけ、自分に合ったストレスの解消法をみつけましょう。

外出時は飲み物を持ち歩く
外出する際は飲み物を持ち歩き、常に口の中を潤せるようにしましょう。
ただし、糖分の入った飲み物は虫歯や糖尿病の原因ともなるので避けるようにしましょう。

酸味のある食品で唾液の分泌を促す
レモンや梅干しなど酸っぱい食品は唾液の分泌を促します。しかし、重度のドライマウスにより口の中がただれている人には、刺激が強すぎて痛みを伴う場合がありますので注意しましょう。
飴やガムなどを噛むと口の周りの筋肉も鍛えられ、唾液の分泌を促すこともできます。

唾液腺のマッサージをする
耳の付け根あたりにある「耳下腺」、顎の骨の内側にある「顎下腺」、顎の先のとがった部分の内側、舌の付け根にある「舌下線」の3か所をマッサージすることで唾液の分泌を促します。

1.両耳の横を手指で後ろから前に向かって円を描くように10回マッサージする
2.顎の骨の内側の柔らかい部分に指をあて、耳の下から顎の下まで5か所くらいを5回ずつ順番に押す
3.両手の親指を揃え、顎の真下から舌を突き上げるように10回ゆっくりグーっと押す

食事前に1~3を、2.3回繰り返すのが効果的です。

ドライマウスを放っておくと口臭、むし歯、口腔感染症などのリスクが増加します。
「口やのどが渇く程度」と侮らず、まずは医師等の専門家に相談してみましょう。